建築基準法における避難施設関係の規定に関して、設計者が選択できる設計方法のひとつです。
2000年6月の建築基準法改正時に交付制定された手法で、店舗や工場、物流施設などの大空間を有する建築物に多く適用されています。
避難安全検証法により安全面を検証して一定の性能を満たせば、材料や設備・構造など自由度を確保した設計の採用が可能となります。
最近では、テナントの変更などの改修によるプラン変更に伴って、排煙の確保が困難な室が出てきた際に、避難安全検証法を採用する実績が増えています。
また、増築や用途変更等の申請が必要ない場合でも、自主的に安全性を確認される物件も増えてきています。
避難関係規定に関する手法は以下の3通りがありますが、同一階で異なる手法を利用することはできません。
仕様規定 (ルートA) | 建築基準法の避難関係規定の仕様に適合させる |
一般的な性能規定 (ルートB) | 告示に定められた検証法を用いて安全性能の検証を行う ・階避難安全検証 ・全館避難安全検証 |
高度な性能規定 (ルートC) | 告示に定められた検証法以外の方法を用いて安全性能の検証を行う 国土交通代人による認定が必要 |
※避難安全検証法の検証方法について、新たに次の2つの方法が追加されます。
現行法において検証法の適用範囲は、「建築物」又は「建築物の階」を対象としていますが、新たに「 区画部分(一の階にある居室その他の建築物の部分で、準耐火構造の床若しくは壁又は遮煙性能を有する防火設備で区画されたもの)」単位での検証が可能になります。
この場合に適用除外できる規定は、対象となる防火区画について「排煙設備の設置」及び「内装制限」のみが対象となります。
※令和3年に新たに施行されましたが、まだ運用について明確になっていないところがあります
現行法では、「検証対象となる部分に滞在する在館者が避難を終了するまでに要する時間(避難時間)」が、「検証対象となる部分における煙又はガスが避難上支障のある高さまで降下に要する時間(煙降下時間)」を超えないことを確かめるものです。より精度の高い検証を可能とする方法として、煙又はガスの発生量の時間変化を見込むものとして、避難時間が経過した時点における煙又はガスの降下位置を算出して、その高さが避難上支障のある高さを下回らないものであることを確かめる方法を可能とすることが示されました。この検証方法については、検証単位が「建築物」「建築物の階」「防火区画」のいずれであっても適用可能となる予定です。
新たに追加された区画避難安全検証法、ルートB2を利用すればより自由度の高い設計を行えるようになります。
扉の設置や階段の規定等について緩和されるため、計画の自由度が向上し、工事費の削減につながります。 避難安全性能を確かめることで適用が除外される避難関係規定は添付の通りです。